(半蔵門だより)

メディア・コンパス

ハンゾーモン 半藏門 江戸城内郭の城門の一。一に麹町御門ともいふ。吹上禁苑の裏に當る。名稱は門内に服部半藏正就の屋敷があったので名づく。半藏御門。

出典:「大辞典」第21巻 昭和11年5月刊 平凡社 発行者下中弥三郎

2021年4月1日

アメリカノート②大国の行方と日本

橋本あかね

 バイデン外交が本格的に始動した3月だった。3日に政権の外交政策の大枠を国民に向け説明した際、最重要の外交指針として掲げたのは以下の8項目であった。①新型コロナの封じ込め、世界健康安全保障の強化、②経済危機の転換、より安定的、包摂的な世界経済の構築、③脅威にさらされている民主主義の刷新、④人道的かつ効果的な移民制度構築、⑤同盟・友好国との関係活性化、⑥気候危機への対応、クリーンエネルギー革命推進、⑦技術分野のリーダーシップ確保、⑧21世紀最大の地政学的試練である対中関係の管理。

 中国に対し強い姿勢を取ったトランプ前政権に対し、選挙中は対中協調的と見られていたバイデン氏だが、蓋を開けてみると覇権を狙って海洋進出を繰り返す中国への危機感を鮮明に打ち出した形でその後も外交が展開されていく。

 まずは12日、日米豪印4か国による戦略的枠組み(クアッド)のオンライン初首脳会合である。中国の台頭を念頭に、今や「世界の地政学の中心領域」(ブリンケン国務長官)となったインド太平洋地域首脳が一堂に会し、3つの作業部会設置と年内の対面会談開催で合意した。

 日本が政権初の外遊先となったのもこの文脈上のことだろう。15日から18日の日韓歴訪では異例の早さで日米2プラス2会談が開催され(ブッシュ(息子)、オバマ政権では2年前後、トランプ政権では7か月を調整に要した)、中国が海警局に武器の使用を認めた海警法を名指しで「深刻な懸念」を表明し、緊密な連携を確認した。

 その後アラスカで直接行われた米中直接会談では、記者団に公開された冒頭から、米国が中国の国際秩序を脅かす行為に対する深刻な懸念を表明すれば、中国側も「米国の人権状況は最低水準にある」と述べ、「米国には米国の、中国には中国の民主主義がある」として、当初2分ずつの予定だった報道陣の前での応酬は1時間以上に及んだという。米側高官は楊氏の発言を「外交儀礼違反」と非難し、中国の王毅外相は「これは客をもてなす態度ではない」と述べる激しいものとなった。

 こうした厳しい言辞は米中いずれも国内向けや同盟国向けのアピールだったとする見方もある。共通の課題は一方で認識されているという指摘だ。もちろん地球規模の課題や経済において協力が必要な分野はあるだろう。しかしそれはそれとして、例えば中国は、敢えて米国に対峙する姿勢を見せることで国内の結束を図ったり国威を発揚したりする必要はあるのだろうか。今や留学する中国人学生は全世界に70万人以上(2019年)、米国では10年連続で国別1位だという。1世代前より格段に世界に目を開かれている若い世代の国民を失望させ、かえって支持を失うという恐れはないのだろうか。米国側でも、米国の動きに呼応するように独仏からインド太平洋への艦隊派遣の計画が発表され、英国の長期安全保障政策において同地域への関与強化が明記され、またウィグル問題でEUが制裁を発動するなど、単なるアピールというには実際の動きが早いように思われる。また中国側でもロシアや北朝鮮と結束する動きがある。

 少子高齢化も新型コロナも大問題だが、日本は東アジアで大きなうねりの最前線にある。

pagetop